ブラジルでの経験 - 八嶋昴旺輝オフィシャルサイト

高校を卒業して、すぐにブラジルへ。
小学校を卒業したらブラジルに行きたいとずっと思っていて、親の反対もあり流石にそれは叶わずで。
ようやく１８歳にして憧れのブラジルへ。
送り出してくれた親には本当に感謝です。

今でこそヨーロッパのサッカーの情報が溢れていますが、当時は、「サッカーの強い国はどこ？」という質問を投げかければ、真っ先に思い浮かぶ国はブラジル。

ブラジルに行きたいと思った理由は単純なもので、キャプテン翼、三浦知良選手に影響を受けて。
私自身、このブラジルで人生観が変わりました。
人間的に大きく成長できたと思いますし、メンタルがかなり鍛えられたと感じています。

ブラジルは深刻な貧困問題・所得格差問題があります。
母国語の文字を読み書き出来ない国民が約10%いると言われていて・・。
貧民街では、学校に行けず道端で物乞いをしている子どもが沢山いました。
そんな貧困から抜け出すのに、サッカーが機能している一面もあります。
ブラジルでは小学生くらいの子どもでも、クラブや代理人から少額ですがお小遣いを貰っている選手が多くいます。
ほぼ全てのプロクラブで食事の提供があり、遠くの街出身の子のために寮もあるのが普通です。
それがネイマールクラスになると数千万円のお金になりますし、例えば本人だけでなく兄弟の学費までクラブが負担するなど、子どもの頃から家族を支えられるのです。
将来億万長者クラスにまでなれるのはブラジル人でも一握りですが、子どもの頃に学校に行けるだけのお小遣いと食事提供、それだけでも多くの家庭を救った事でしょう。

家族を支え、自分を守るためにその試合にかける本気度。
試合で活躍し、ドンドン能力を上げ、より待遇の良いクラブに入ろうという気持ちでサッカーに取り組んでいます。
毎日がまさにセレクション。

決して貧困になれとは思いませんが、日本人が、この気持ちに対抗するだけの強い気持ち、本当にサッカーが好きだ、絶対に夢を叶えるのだという精神を宿さないと、気持ちの強さという面ではなかなか難しい気がします。

ブラジルに行ったことで日本を客観的に見ることができたのは大きい。
日本から見たら生活環境など厳しい状況でもブラジル人は日本人より、よっぽど楽しそうに生きていました。

エピソードをいくつか挙げるとするならば、時間にルーズなのは本当に面食らいました。
ブラジル人の時間の感覚は超ルーズ。
待ち合わせに遅れて来るのは日常茶飯事、何事も平気で遅れてきたりします。
後、電車の時刻表は基本ありません。
電車は来た時に利用するもの、遅れる場合も早く出発する場合もある、というのがブラジル人の感覚です。

ブラジル人との約束は、ただの挨拶なので、ドタキャンされることは当たり前であり、実現されたことはほぼ無いので、約束の定義や価値観の違いにも悩みました。
でも、この時間のルーズさのお陰でメンタルかなり鍛えられました。^^;

電車内のことですが、ブラジルの電車の中で居眠りしている人はほとんど皆無です。
居眠りは不注意なこと、油断していることであり、寝ている間に何かあっても「寝ていたのが悪い」ということになります。やはり治安が日本ほど良くないので、予防心が働くのでしょう。

もう一つ、ブラジルのシャワーはガスで温めているのではなく電気で温めるものが一般的です。
見えないところで温めてくれれば問題ないものを、シャワーの電気線（時にはコンセントまである始末。）が水場にごく近い所にあるので感電しそうでとにかく怖かった。
しょっちゅう断水はするし、お湯が出ず水でシャワーを浴びたことも多々あります。

まだまだありますが、こう整理してると日本は本当に恵まれてる。
ただその恵まれてることによって、平和ボケしてるというか失っているものが多くあると感じています。

日本は島国だからこそ、外国に行ってみると日本とは全く違った文化や習慣を味わえることがたくさんあります。
それは留学中、ある意味大変な事になることもありますが、刺激や新たな発見となってよい経験に感じられることもあり、これが海外経験の大きなメリット。

新しい文化や習慣の発見は、自分自身の世界観を変えてくれる事もあります。

今まで日本にしか住んだことがない場合は、自分の考え方や感じ方の基準は全て「日本の経験」がベーズになると思います。
しかし、海外で生活すると自分の考えが通用しなかったり、変に思われたり、今まで普通だと思っていたことが絶賛されたりすることもあります。