海外での経験 ~ドイツ~

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ドイツでの経験

ドイツ南部の都市、シュトゥットガルトへ。
人口は約63万人。

過去にはブンデスリーガで優勝したこともあるVfBシュトゥットガルトのトップチームや育成年代、周辺にあるタウンクラブの視察、そして街の文化にもできるだけ多く触れることを目的に行ってきました。

収容人数60000人のVfBシュトゥットガルトの本拠地「メルセデスベンツ・アリーナ」は立派すぎた。
1974年、2006年のW杯の舞台でもあります。

今回シュトゥットガルトに行くことができたのも、河岸貴さんと出会えたからこそ。
コネもカネも何もない若者時代、文字通り身一つでドイツへ渡り、名門シュトゥットガルトの門を叩いて、言葉も文化も異なる場所での、ゼロからのスタート。

海外の街クラブと契約している日本人はたくさんいるかもだけど、その国のトップリーグ、ドイツならブンデスリーガで、現在ヨーロッパで活躍するプロの指導者の中で、一流のクラブからトップクラスの条件を提示されるほど厚い信頼を得て、なくてはならない存在になるまでには、想像を絶するような苦労と困難が。
ここには書けないぐらいの聞いたらびっくりじゃすまないような経験(苦労、困難)の連続。
生きるか死ぬかを乗り越えての今。
ただ、そのような困難を上回る強靭なメンタル、優れた人間性、埋もれずに自分を主張し、全身全霊でサッカーに向き合い、コツコツと実績を積み上げる努力をし続ける。
日本で生活する日本人が持ち合わせていないようなハングリーさ。
支えてくれた人や仲間との繋がり。
もし、この中のどれか一つでも欠けていたとしたら、成し得なかったのかもしれません。
それほど物凄いこと。
と、書いてもどれほどの困難があったかは分からない。伝わらないと思う。

ブンデスリーガ観戦では、長谷部選手、乾選手が所属するフランクフルトと対戦。
長谷部選手乾選手共にフル出場。酒井高徳選手は、残念ながら怪我のため出場ならず。
日本人があのレベルでレギュラーとして活躍しているのは本当にすごいこと。

シュトゥットガルトU16,U13トレーニング見学では、貴さんの解説付きで見ることで、より、ドイツの育成事情について知ることができました。感謝。
シュトゥットガルトの育成部門は、ドイツでもトップ。
ユースのタイトル数はブンデスリーガで1番。プロ輩出数もトップクラス。

U 15ドイツ代表の試合も見学することができました。
しかもドイツ代表のベンチに入りながら。
ベンチの空気感も感じられて2度おいしいとはこのこと!!
選手一人一人の空気感も今まで見てきた中でも全然違った。
多くの選手がアンダーの代表から順調に育っているドイツ代表。
2000年から始まった大改革のの一部を垣間見ることが出来たことに感動。
ドイツ人のフィジカルというと、体格や強さが特徴と思ってましたが、もちろん体格や強さは強烈だけど、それに加えてのしなやかさ。

シュトゥットガルトクラブハウスにて酒井高徳選手と昼食をご一緒する時間も。
当時ハリルジャパンのメンバーにも選出され、シュトゥットガルトのレギュラーとして活躍する酒井高徳選手。
今感じていること、過去のこと、将来のこと、ブンデスリーガのこと、日本代表の話などなどたくさんの本音を聞くことが出きました。
いかにして成長し、日本代表、そして、ブンデスリーガの強豪でポジションを掴むまでになったのか。
何気ない会話の中からにじみ出る酒井選手の芯の強さを感じ取ることができました。

育成年代では何が大事なのか。そのヒントを頂けたように思います。
育成年代ナショナルトレセンや日本代表でプレーした仲間で今も日本代表に残っている選手は酒井選手のみ。
なぜそうなっているのか。その年代でスーパーだった選手が選ばれない現状。Jリーグですら活躍できていない現状。
何度も酒井選手は世界に出ることの必要性を説いていました。
自宅にも伺って奥様や高徳選手のお母さんからも色んな話を聞く機会もいただきました。

日本でもお馴染みの、元ドイツ代表選手で、現在は複数の会社を経営し、また、シュトゥットガルトのレジェンドであり、現エグゼクティブアドバイザーの、ギド・ブッフバルトさんにも会うこともできました。

GKスクールの見学もいくつか見てきました。
ドイツは名ゴールキーパを輩出する国といわれています。
日本サッカーは他のポジションに比べてGKが一番遅れをとっていると聞きます。
トップから育成年代の選手まで何度も見させて頂きました。
トレーニング、選手の特徴などなど日本と比較してキーパーが全然違いました!!

アップなしで始まるおじさんサッカー90分ノンストップも衝撃だったな。
しかも最高齢60歳^^;
皆んな感情むき出し、削り合い。

終わった瞬間、何事もなかったように笑顏になりまだシャワーも浴びてないのにいきなりビールが出てきて各々飲み始める。『プロスト(乾杯)』と言いながらそれぞれのタイミングで。自由な人たちです。もちろんすぐ帰る人もいたりして。
ドイツでは水の代わりにビール・・。笑。
普通に飲酒運転で帰るし・・。(^_^;)

加賀で地ビールを作ろうと思ったのも、このビール文化に触れたことがきっかけです。
生ハム、サラミ、ソーセージをつまみにドイツビール。最高でした。

施設は、クラブハウス(2階はレストラン)、人工芝1面、天然芝1面がある立派な施設。
当たり前ですが土のグラウンドですることはまずありません。
でもこれがスタンダード。
しかもドイツ10部の村のクラブが保有する施設。
幼児から大人まで全てのカテゴリーがここを拠点に活動しています。
このクラブからもそうですが、周辺の街クラブの優秀な子達がシュトゥットガルトに。いい流れです。
村と書いたのは、7800人の人口しかいないのにこの施設。これが本当にスタンダード。
全てにおいてカルチャーショック。

日本とは文化も環境も全く異なるドイツで、朝から晩までサッカー三昧。幸せな時間でした。
B級時代にインストラクターとしてお世話になった若杉さんともまさかの再会。不思議なご縁です。

サッカー談議、人生談議。
考え方、捉え方。
日本での日常の枠の中じゃ垣間見ることすらできないものに、直に触れて刺激を受けることができました。
とにかく来てよかった。
知ること、感じること、あらためて大事にしなきゃなと実感しました。

やっぱり日本はいろんな意味で安心安全で守られ過ぎ、保護され過ぎなのかもしれません。
マニュアル通りで便利。何もかも時間通り。住み心地、居心地が良すぎる。
一見、いいことだけのようだけど、子どもの成長を妨げる過干渉と同じ、それによって大事なものを失ってたり、気付けないこと、退化してることがあったり。
成長するには脳への強烈な刺激、不便、理不尽、居心地の悪さは不可欠だということ。

ドイツでは、自分を客観的に見るいい機会になりました。
ぬるい環境の中で目先のことだけにならないように、選手達が世界へ出る必要性をあらためて感じました。